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公共施設×民間の可能性を探る 五井会館利活用実証事業/国際交流

子育て世代の市外流出などを背景とし、子育てやキャリア教育、国際交流の場などとして、市原市のまちづくりの中心拠点に位置する五井地区の公共施設「五井会館」のあらたな利活用を目指すプロジェクトが、2023年4月から始まっています。今回はそのなかで、五井会館を活用した国際交流の取り組み「Hello World Ichihara」に焦点をあてて、プロジェクトをご紹介します。 談:小川起生 2024年5月

事業概要

休眠状態の公共施設を活用した、キャリア教育×国際交流×子育て支援への取り組み

五井会館は、市原市の中心都市拠点である五井地区のまちづくりに重要な公共施設ですが、十分な活用がなされず、休眠状態の箇所もあることから、近辺の梨の木公園も含めた利活用が検討されています。そこで、あらたな利活用の目的として定められたのが、子育て・キャリア教育・国際交流です。

2023年4月からは、五井会館利活用の実証事業として、市内在住の小中学生を対象とし、ロボコン(ものづくり)を通じたキャリア教育や、市内在住の外国籍の方と市民の交流の機会創出を目的としたマルシェやクリスマスイベントなどを市原市役所と連携のもと、オープンロードが企画・実施しました。

2023年度は、こどもたちのキャリア教育と国際交流イベントをそれぞれ個別で開催しましたが、今後は、五井会館を拠点として活用しながら、こどもたちと外国籍の方との交流機会をつくることで、キャリア教育や子育て支援、国際交流が交ざりあっていく場のを目指しています。その前段階として、2023年度の国際交流企画「Hello World Ichihara」では、毎回異なる国をテーマにしたイベントを行いました。

イベント概要

第一回 ブラジルマルシェ

ブラジルをテーマにしたマルシェ。ブラジル料理のほか、サンバやボサノバを楽しめるステージや、来場者も含め、みんなで演奏するPagode(パゴージ)といったブラジルならではの音楽や文化に親しめる工夫を凝らしました。ブラジル人の方にもたくさん来場いただき、会場では日本人もブラジル人も関係なく、ステージの音楽に合わせて踊っていました。「音楽は国境を越える」という景色が、まさに現れていました。

イベント終わりの出演者や来場者のみなさんとの一枚

ブラジル音楽を目当てに遠方から足を運んでくださったお客さんもいらっしゃいました。音楽に合わせて踊る方もたくさん!

サンバの一種、Pagoge(パゴージ)では、居合わせたその場のみんなで、テーブルに並べられたさまざまな打楽器などを演奏しながら、セッションを楽しみました。

また、市原図書館に協力いただいて企画したブラジルや異文化理解などの国際交流関連の書籍を集めた図書スペースや、アクセサリーなどの雑貨販売、NPOの展示などさまざまな切り口でブラジルを体感できるイベントになりました。

ブラジルの文化について書かれた本や、さまざまな国のレシピ、絵本などを集めた図書ブース
アクセサリーの販売
フードトラック
ブラジルを始め南米が大好きな日本人と祖国を愛する南米系の方々によって構成されたNPO法人MAIKEN

第二回 フィリピンのクリスマス会

フィリピンをテーマにした第二回は、クリスマス時期だったため、フィリピンのクリスマスを味わえる企画にしました。当日は、フィリピンの音楽をはじめ、フィリピンのクリスマスに欠かせないプレゼント交換を来場者のみなさんと一緒に体験しました。

フィリピンの方に、フィリピンの伝統的な曲を歌っていただいたり。

来場者のこどもたちも交えて、会場全体でクリスマスのダンスをしたり。

フィリピンのクリスマスには絶対に欠かせない!と、フィリピン人の方に教えていただき、こどもたちも大喜びだったプレゼント交換も行いました。

フィリピンのタガログ語でありがとうを意味する「サラマッポ」を掛け声に、
みんなで音楽に合わせてプレゼントを回しました。

第三回 タイイベント

タイをテーマにした第三回は、タイ料理のお弁当のほか、タイの国技であるムエタイや伝統舞踊のステージも企画しました。特に、迫力満点のムエタイや、優雅な動きの伝統舞踊の体験は、来場者のみなさんが大勢参加され、とてもにぎわっていました。

来場者のみなさんとムエタイ選手の方たちとの一枚。

地域によって、それぞれスタイルが異なるタイの伝統舞踊。

パフォーマンス後には、タイ舞踊をみんなで体験したり。

目の前で戦いが繰り広げられるムエタイは迫力満点!

その後のムエタイ体験は、大人からこどもまで大人気でした。

そのほか、タイ人のスタッフもたくさん働いており、タイとの縁が深いぞうの国に賞品の協をいただいたクイズ大会や、神田外国語大学のタイ語専攻の学生さんに協力いただいたタイ語ブース、箒と風船を使ったタイのゲームなども盛り上がり、タイに親しむ1日になりました。

タイの文字
箒と風船を使ったレースは、
大人も真剣!

第四回 ワールドフェス

2023年度の最終回はこれまでの3回とは異なり、さまざまな国をテーマに「ワールドフェス」を開催しました。各国の料理はもちろん、オーストラリアやバングラデシュとの生中継、神田外国語大学の学生さんに協力していただいた言語ブース、湖畔美術館のワークショップブースなどもとても人気でした。

ネパール料理のダルバート
セネガルのマフェ

生中継では、会場のこどもたちを含む来場者の方から、その国の文化や暮らしについてさまざまな質問が出ていました。

ZOOMとインスタを駆使して、海外からの生中継を行なっている様子
号外ネットより

湖畔美術館のワークショップブースは、言葉を必要としないアートだからこそ、外国人の方もたくさん立ち寄ってくださっていました。

Hello World Ichiharaで目指していること

外国人や日本人が、大人もこどもも関係なく、自然とつながれるようなきっかけづくりを目指しています。

せっかく同じ市内に住んでいるなら、外国人も日本人も関係なく、
もっとフラットにつながりたい!
こどもたちにも、肌の色も国籍も言語も関係なく、
いろいろな人とつながる楽しさを感じてもらいたい!

そういった思いをもとに、お互いの文化や食事、音楽などを共有して、交流できるイベントをつくろうと企画しています。

取り組みの背景

現在市原市では、子育て世代の市外流出への対応が、大きな課題のひとつとなっています。特に、20〜40代の子育て世帯や、20〜30 代の単身世帯の流出が顕著です。

また、市原市在住の外国人は近年増加傾向にある一方で、アンケートなどの調査によると、多文化共生に関する市民意識が十分ではないことも、市原市のまちづくりにおいて大きな課題になっています。

そこで市原市では、子ども・若者・子育て世代が「住み続けたい」「住んでみたい」と思うまち、世代・性別・障がいの有無・国籍によらず、互いが多様性を尊重し、一人ひとりの生きる力や可能性を最大限発揮することができるまちの実現に取り組むことを掲げています。

そうした市原市の現状を背景に、子育てやキャリア教育、国際交流などの拠点として市原市の中心都市であり、主要な交通拠点でもある五井駅近くに位置する五井会館(公共施設)や梨の木公園、公園の地下駐車場をこれまでにないかたちで利活用しようとする取り組みが始まったのが、今回の五井会館利活用の実証事業プロジェクトです。

国際交流、キャリア教育、子育て支援の交じりあう場を目指して

五井会館利活用の実証事業プロジェクトは、2024年度も継続予定です。2024年度は、世代や国籍を問わないフラットな交流という目指していることはそのままに、外国籍の方との交流をより盛り上げていくために、国別ではなく、食や音楽といった興味関心ごとを切り口にしたイベントを開催する予定です。

また、五井会館を拠点として活用しながら、こどもたちと外国籍の方との交流機会をつくり、キャリア教育や子育て支援などへと繋げていくために、こどもと外国籍の方、双方が参加できるようなものづくりに関するイベントも企画しています。

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